ルノワールに師事した梅原龍三郎とは
こんにちは。飛鳥みやびです。阿倍野のハルカス美術館で、『拝啓ルノワール先生ー梅原龍三郎が出会った西洋美術』展を見てきました。
梅原龍三郎さんは、明治41年(1908年)に20歳で渡仏し、リュクサンブール美術館で見たルノワールの絵に感激し、翌年2月に南仏カーニュのルノワールのアトリエを訪ねて、日本の画家として初めて教えを請うた方です。
ヨーロッパで学んだ油絵に、桃山美術・琳派・南画等の日本の美術を自在に取り入れて、絢爛な色彩と豪快なタッチで独自の世界観を表現され、昭和の日本洋画界を代表する重鎮となられました。
梅原にルノワールは、「君には色彩がある。デッサンは勉強で補えるが、色彩はタンぺラマン(天性)だ」と高く評価していたといいます。梅原は京都の染物問屋のぼんぼんですので、生まれつき色彩の才能があったのでしょうか。
また、非常に健啖家(けんたんか=大食漢)で、80歳を過ぎても鰻三人前を軽く平らげたそうですが、日本食は「風を食ったようで物足りない」といって、もっぱらフランス料理と中華を好んで食べていたそうです。特にキャビアとフォアグラ、フカヒレにナマコが大好物だったそうです。
私は、ルノアールの絵のタッチが好きで、去年開催された京都市美術館の『光紡ぐ肌のルノワール展』を5月頃に観に行きました。
今回の展示会では、ルノワールと梅原の師弟関係を縦軸にして、二人の作品を中心に、梅原が蒐集した美術品が展示されています。
又、当時梅原と交流のあった、ピカソやルオーらの作品も横軸として合わせて展示されています。当然素晴らしい作品ばかりですが、作品以外にも当時の画家同士の関係や、交流の様子が垣間見れて、とても興味深く拝見しました。
拝啓ルノワール先生 梅原龍三郎展の詳しい内容
展覧会情報は以下の通りです。
会場: あべのハルカス美術館
大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F
開催期間: 2017年 1月24日(火) ~ 3月26日(日)
開館時間: 火~金 / 10:00~20:00
月土日祝 / 10:00~18:00
(入館は閉館30分前まで)
休館日: 1月30日(月)、2月6日(月)、13日(月)、20日(月)、27日(月)
入館料: 一般1,400円、大学・高校生1,000円、中学・小学生500円
モネやルノワール、ゴッホなどの印象派とは
モネやルノワール、ゴッホなど、印象派(印象主義)と呼ばれる画家の絵画が日本でも人気が高いですが、印象派とは19世紀後半のフランスで、保守的な美術界から激しく批判されながらも独自の展覧会を開催して認知されていった芸術活動です。
クロード・モネの有名な絵画『印象・日の出(Impression, soleil levant)』が由来となっているとされ、評論家のルイ・ルロワが、風刺新聞ル・シャリヴァリ紙のレビュー記事でその絵が展示された展覧会を、軽蔑と悪意をこめて「印象主義の展覧会」と評したのが「印象派」として定着したそうです。
当時登場した写真機により、写実的な表現では写真に勝てない絵画が、反対のぼやけた表現に向かったという面もあるのですが、なんといっても決定的な影響を与えたのが、日本の浮世絵です。
西洋にはない構図や色使い、宗教色の無い自由な表現が、パリに集まっていた芸術家たちに衝撃を与えました。浮世絵に影響を受けた画家たちの芸術活動が印象派になったということです。
19世紀中頃の万国博覧会によって日本美術がヨーロッパに紹介され、その後にジャポニズム(日本主義)、日本ブームの潮流によって、印象派が生まれたという事は、もっと知られても良い事だと思います。
ちなみに「印象派」という言葉は、福沢諭吉が作った言葉です。印象派だけだと、日本と関係が無いように感じますが、この言葉の元は「ヤポン・インプレッション」で、「日本浮世絵派」と訳したほうが本来の意味に近くなるようです。
日本の浮世絵や絵画に影響を受けたルノアールに、日本人が弟子入りして油絵を習うというのは、なんだか東西文化が循環しているようで面白いですね。ではまた。